2024-01-01から1年間の記事一覧

評 

千鳥由貴 船便 週刊俳句 Haiku Weekly: 10句作品 千鳥由貴 船便 つちふるや八坂の塔を鳥かすめ船便で届く木箱や花ミモザ三毛猫を見ぬこの頃や木瓜の花長き髪束ねて帰る花疲れ歩みまだ殻の内なるがうなかな書く前の言葉つぶやくシクラメン低く飛ぶ孕雀を子は…

https://weekly-haiku.blogspot.com/2024/04/8872024421.html

田中木江 さくらえび みやこ鳥春からのこと話し合ひ花菜漬わたしも休みとれたるとひらきだす梅々へ枝追ひつかず熊ん蜂とぶクレヨンの黒を引きものの芽の先につたはる工事かなはなうたにちらほら歌詞や春大根春日傘三種のおはぎ買ひ揃へよき岩に足跡あまた磯…

ダ・ヴィンチ レビュー

父権社会の拷問器具「コルセット」を静かに淡々と描写する恐ろしさ。「北斗賞」を受賞した佐々木紺の第一句集 | ダ・ヴィンチWeb 静かな俳句である。遠くの灯台の光を眺めるように、虫メガネで手元を拡大するように、丁寧に、静かに、日常が語られる。 佐々…

佐々木紺

うちそと 佐々木紺 « 詩客 SHIKAKU – 詩歌梁山泊 ~ 三詩型交流企画 公式サイト 週刊俳句 Haiku Weekly: 10句作品 佐々木紺 声と暴力 http://fukiosho.org/archive/arc05/05_051.pdf

句集『平面と立体』

おぼえて、わすれる 餅花や曲線のふれ合へば点 水鳥の水に吸はるるとき砂鉄 平面と立体 紙切つて紙よりもどる蝶ひとつ かざしゐて指輪の石をとほる船 夢を剥がす ブラウスのボタンうすくて蓬摘む 白玉や生前のこと忘れさう コルセット 絵の中をひしりと寒鯉…

白鳥句集

松下カロ『白鳥句集』は全編白鳥尽くしの一冊。11章から成る。第2章のタイトルが「ウクライナ」であり、18句が収められている。 戦争に対して「否」という立場は前提として、それをどう表明するか包み込むか。反戦といった直接のメッセージから注意深く距離…

現代俳句協会データベースより 「手袋」句

側に手袋赤し魚の腸 宙吊りにわが手袋と鵠と 左右なき手袋こそは哀しかり 左手の手袋がまた汚れている 手袋が立っているなり犬死あり 手袋に五指を分かちて意を決す 手袋に故郷の山河嵌めて恋 手袋に閉じ込めている感情線 手袋の五指恍惚と広げおく 手袋の過…

同世代の俳人

八木三日女は大正13年生まれ。渋谷道は昭和元年生まれ。 https://gendaihaiku.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2019/02/hairon_21_1.pdf

足袋ひらき二夫にまみえる足入れる 白足袋の急げばそこは橋掛り 逢わぬ日の足袋から風に乾いていく 白足袋を中途半端に汚す一日 妄執の足袋百足も穿きつぶす 足袋脱いで孔雀のような疲れとも 足袋に座し剃刀を当てる角度 足袋白くて櫛歯を弾くオルゴール 小…

『春の絵』を読む

つまだちに鶏が押す風のカンナ「茗荷のなか」 魚の眼に濡れっぱなしの月通る「茗荷のなか」 はくれん化のはな母乳たらたら垂れ「白猫」 鴉ああ口中昏い椿咲く「白猫」 にょきにょき脚生え顔生え梅雨の洋館「白猫」 葡萄食べおわり青い火花残る「白猫」 渓ふ…