2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

能面は顔より小さしきりぎりす p.137

他の民俗芸能の仮面劇では、顔をおおい隠す大きさのものも多いですね。でもそれらはいかにも化けている、演じている印象を受けるものです。ところが役者のあごが見えていることで、能面は、演者の身体と一体化した印象を与えるのです。あごと首のラインの動…

青蛙廃墟の水に養はれ p.84

経済が好調なら、不要になった施設も取り壊したり転用したりできるのではないだろうか。ローマや中国の遺跡など立派な遺産になれば浮かばれるが、維持・整備する余裕がなければ、文化的価値があっても廃れてしまう。 どんな栄華も衰退を免れることはない。人…

『中くらゐの町』殺生をせぬ里芋のぬめりかな p.53

一読不思議な感じがした。人がではなく、里芋が殺生をしないような書き方だ。とりあえず、里芋料理では動物や魚を殺して肉を食べることをしないととる。殺生は特に仏教において強く戒められている一方、食べねば生きていけないので感謝しながらいただくとい…

『中くらゐの町』を読む

モノポリー蜆が砂を吐く間p.23 水、砂、泥ぐらいの違いはあれ、蜆には吐く句が少なくない。「蜆が砂を吐く」まで言ってしまえば、残りはわずか八字。この句ではそこに「モノポリー」を配したことで、他に類を見ない蜆句を演出している。 蜆漁で知られた地に…

岡田由季句集『中くらゐの町』を読む

句集『中くらゐの町』 月なき夜人数分のヨガマットp.10 湯たんぽに軸足置いて眠りをりp.14 雪もよひ公民館に湯を沸かすp.16 セーターの四人が揃ふリハーサルp.19 三笠山ほどの膨らみ夏布団p.32 マットは一人一枚なので、人数分のマットがあるのはヨガ教室の…