青蛙廃墟の水に養はれ p.84

 経済が好調なら、不要になった施設も取り壊したり転用したりできるのではないだろうか。ローマや中国の遺跡など立派な遺産になれば浮かばれるが、維持・整備する余裕がなければ、文化的価値があっても廃れてしまう。

 どんな栄華も衰退を免れることはない。人間の技術がこの先進んでも、自然の力を凌駕することはないだろう。人工物が時とともに風化し、自然に呑み込まれていくことは地球にとっては安らぎかもしれない。そして、滅びの美は時に人をも惹きつける。

 生物はみな水に養われて生きるが、とても長いスパンで見れば、小さな青蛙が人類より生き延びる可能性に思い当たる。